2019年ラグビーワールドカップ普及啓発事業 ラグビーを通じた国際交流プログラム事業
事業概要
概 要: 女子高等学校生を対象としたニュージーランドとのラグビーを通じた国際交流
主 催: 文部科学省 スポーツ・青少年局 競技スポーツ課
内 容:1.英語及びラグビーのスキルアップを目的にした「Game on English」プログラム参加
2.ラグビーを通じたニュージーランド文化・伝統学習
3.帰国後の報告会及び2019年ラグビーワールドカップのレガシープラン推進活動参加
派遣内容: 1.派遣期間 :8月5日(水)から8月25日(火) 21日間
2.派遣先 : ニュージーランド オークランド
3.滞先方法 : ニュージーランド家庭でのホームステイ
派遣者選出方法:
1.書類応募:
(1)日本語によるエッセイ:「志望動機(本プログラムに参加して学びたいこと)」
(2)英語によるエッセイ:「2019年ラグビーワールドカップ日本開催に向けて取り組みたいこと」
(3)ラグビー競技歴
(4)英語等の資格の取得状況
(5)所属高等学校の顧問もしくは所属チームの指導者による推薦書
2.応募期間: 平成27年5月21日(木)~平成27年6月12日(金)
3.選 考: 出願書類に基づき(公財)日本ラグビーフットボール協会において選考。
ラグビー歴、英語能力及び帰国後のラグビー普及活動への参加意欲等を総合的に判断し選考。
派遣者:
氏名 年齢 学校名 学年 所属チーム ポジション
津久井 萌 15 東京農業大学第二高等学校 1 東京農業大学第二高等学校ラグビー部 SH・FW
バディヴァカロロ アテザ 優海 15 都立石神井高等学校 1 都立石神井高等学校ラグビー部 CTB・WTB
山本 穂香 15 都立雪谷高等学校 1 Rugirl-7 FW
北澤 瑛里奈 17 専修大学附属高等学校 2 専修大学附属高等学校 FL
宮田 里菜 17 頌栄女子学院高等学校 2 東京フェニックス FW
塩崎 優衣 17 都立青山高校 3 都立青山高校 WTB・FB以外
遠田 萌花 16 愛知県立西春高等学校 2 名古屋レディース R.F.C CTB
福留 菜月 17 常翔学園高等学校 3 常翔学園高等学校ラグビー部 PR・FL
山地 可恋 17 香川県立高松北高等学校 3 香川県立高松北高等学校 PR
髙﨑 真那 17 福岡県立福岡高等学校 2 福岡高校ラグビー部、福岡レディース FL・LO・WTB・CTB
Game On English とは
「Game On English」はニュージーランド政府によって企画された、英語とスポーツ合体型の新しい留学プログラムです。英語圏であり、世界有数のスポーツ大国であるニュージーランドの強みを生かし、英語の集中プログラムとラグビートレーニングのふたつの柱から構成されています。また、ニュージーランド人家庭のホームステイ先に滞在し、地元の生活や文化を経験しながら生の英語を身につけます。
事業主催: エデュケーション・ニュージーランド(留学と国際教育を担当するニュージーランド政府機関)
内 容:(1)語学学校での集中的な英語研修
※語彙力、文法力、文章の組み立てなどを含む言葉の4技能(読む、書く、聞く、話す)を伸ばしコミュニケーション能力の向上を図ります。
(2)ラグビーの専門的なトレーニング
※イーデンパークスタジアム*内のハイパフォーマンスセンターで最高レベルのインターナショナルラグビーアカデミーに参加します。
*2011年ラグビーワールドカップ決勝戦会場
(3)ニュージーランド人家庭におけるホームステイ
プログラム(予定):
月曜日~金曜日:午前(9:00-12:00)ラグビートレーニング
午後(13:00-15:00)英語研修
土曜日・日曜日:自由行動(任意参加または参加必須のプログラムあり)
以 上
レポート(出発)
8月5日(水)ニュージーランドへいざ出発!!
8月5日(水)成田空港よりニュージーランドへ出発!!
全国から多数の応募があった中から選ばれた女子高校生10人がいざニュージーランドへ出発!!
日本では真夏のこの時期、南半球に位置するニュージーランドは日本とは真逆の気候で最低気温は-30度にも到達します。
そのため彼女たちのスーツケースには冬用のジャージー等がたくさん詰め込まれていて非常に重そうに見えましたが、ニュージーランドでの語学の学習、ラグビースキルアップに向け、意欲高々期待いっぱいの笑顔で飛行機に乗り込みました。
※出発直前の集合写真
レポート①
8月10日(月)第一週レポート
キオラ!(マオリ語で「こんにちは」)
8月5日に成田空港を出発した10名はおよそ11時間のフライトを経て無事オークランドに到着しました。灼熱の東京から気温5℃の真冬の地へ。慣れないフライトに睡眠不足の高校生も冷たい空気に自然と背筋が伸びました。いよいよ念願のGame on Englishが始まります。
ラグビーのプログラムを行うのは過去2回ラグビーワールドカップの決勝戦を開催したイーデンパーク。ラグビーの聖地とも言えるイーデンパークに到着すると感激のあまり涙を浮かべる参加者の姿も見られました。
今週はストレッチの基本を確認したり、来週以降のプログラムを決定するためのスキルチェックを行ったりと楕円球を使った練習は行いません。その代わり、丁寧なチェックを行うことで参加者のニーズにマッチしたプログラムを組み立てていただきます。
スキルチェックの合間にはウエイトトレーニングのより効果的な方法を学び、プロコーチによる指導を受けました。
Game on Englishで忘れてはいけないのが英語の学習です。今回の滞在では語学学校での英語の授業に加えて2人一組でホームステイをし、英語漬けの生活を送ります。まだ片言の英語しか話せず、語学学校のクラス分けテストは悲喜こもごもでしたが、世界で活躍するラガールを目指して実践的な英語学習に励みます。ホストファミリーの温かな出迎えを受け、無事ニュージーランドでの生活が始まりました。ラグビーに英語に全力投球の参加者たち。来週から始まる本格的なラグビープログラムと英語レッスンに期待が高まります。
おまけ:オークランドの8月は雨が多く、1日の天気もめまぐるしく変わります。空港到着後に向かったワンツリーヒルはまさかの快晴!オークランド市内を一望し、テンションMAXの参加者たち。幸先の良いスタートが切れました!その後も参加者が移動しようとすると雨がピタっと止む奇跡が。「もっている」参加者の今後に乞うご期待です!!
※到着初日 ワンツリーヒルにて
レポート②
8月17日(月)第二週レポート
キオラ!(マオリ語で「こんにちは」)
NZ交流プログラムも二週目に入り、ラグビープログラムでは本格的な練習が、英語学習では語学学校のクラスごとに分かれた実践的な学習が始まりました。
ラグビーでは先週のスキルチェックを経て組まれたプログラムに臨みます。フィールドトラックでの“速く走るためのトレーニング“では腕の振り方などを意識することを学び、グラウンドでは14日(金)の試合に向けてポジションごとの練習にも取り組みました。
フォワードはラインアウトのサインを、バックスはラインの動きを中心に確認。コーチの説明はもちろん英語でなされます。時おりホワイトボードを使って動きを確認したり、英語が得意な参加者が日本語で補足したり、創意工夫をしながら練習が行われました。
残念ながら悪天候により試合は延期となりましたが、着実にスキルアップしている参加者たち。来週の試合に向け気持ちを新たにしました。
英語学習では、他の国からの留学生と共にクラスに参加します。多国籍クラスならではの戸惑いを感じながらも積極的にコミュニケーションを図る参加者たち。ホームステイではホストファミリーに日本の文化や風習を解説したり、ニュージーランドの家族観を教えてもらったりとまさに異文化交流を実践。“伝えようとする気持ち”“理解しようとする姿勢”を身に着けて英語でのコミュニケーションにも慣れてきました。
今週のハイライトは15日(土)のニュージーランドvsオーストラリアの試合観戦です。ラグビーの本場ニュージーランドでしか味わえない会場の一体感と熱気を感じ、大興奮の参加者たち。ラグビーの魅力を再認識し、2019年のラグビーワールドカップ日本開催に向け、この体験をより多くの人に伝えたいと考えています。そして、自分たちがイーデンパークで練習できることの素晴らしさを改めて感じた夜でした。
おまけ:皆さんはキウィと聞くと何を思い浮かべますか?甘酸っぱいフルーツを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。ニュージーランドの“キウィ”は国鳥。また、ニュージーランド人を意味する言葉でもあります。
週末の空き時間にオークランド動物園を訪れた参加者たちはとことこ歩く国鳥キウィの姿を見て大喜び。キウィは夜行性のため真っ暗な部屋で飼育されていて、動かずにじっとしていることが多いそうです。動くキウィが見られる確率は1%との噂。やっぱり“もってる”ラッキーガールズ。来週も目が離せません。
レポート③
8月27日(木)第三週レポート
キオラ!(マオリ語で「こんにちは」)
NZ交流プログラムもいよいよ三週目に入り、ラグビープログラムでは念願の試合に臨み、語学学校での英語学習では徐々に難易度が増してきました。
ラグビートレーニングでは英語による指導にもすっかり慣れ、試合に向けた戦術の確認に磨きをかけました。また、他国から留学中の男子選手とも一緒にウエイトトレーニングやタックル練習などを行うなど練習メニューのバリエーションも増え、参加者のやる気は高まります。
そして迎えた19日(水)。時おり小雨のちらつく中、現地の15歳以下の選手を中心にしたチームに挑みました。年下ながら自分たちより一回りも大きな相手選手に果敢にタックルに入り、泥まみれになりながら見事2試合を快勝!初チャレンジで勝利を収め、チームの団結も強まります。
初戦で見えた自分たちの課題を踏まえ、参加者10名の集大成として臨んだ21日(金)の試合では、体格に勝る相手に自分たちの強みである「走り勝つ」ラグビーを展開。「コミュニケーション」にこだわりチームとしてひとつになった参加者たちはこの日も2試合ともに勝利を収めました!!快晴の空のもと大きく花咲いた笑顔からはちょっぴり自信も伺えて、この3週間の成長が感じられました。
英語学習は今週も多国籍クラスでの異文化交流を実践します。もう「English Please!」と注意されることはありません。他国からの留学生や先生ともすっかり打ち解け、英語を使う楽しさを知った参加者たち。ホストファミリーと一緒に過ごす時間も残りわずかとなり、一緒に出かけたりおしゃべりしたりニュージーランドの生活を存分に楽しみました。
おまけ:皆さんは「ノーサイド」の精神をご存知ですか。80分の試合が終わったら、敵も味方もなくひとつの仲間としてお互いを称えあう、ラグビーの精神を表す言葉のひとつです。実はこの「ノーサイド」の言葉を使うのは世界中で日本だけと言われています。
試合後に対戦相手と肩を組み、お互いの健闘を称えて歌を披露した参加者たち。ノーサイドの精神を体現し、ラグビーを通じて異国の地で同世代の仲間と心をひとつにした経験は参加者にとって宝物となったに違いありません。
レポート(帰国)
9月2日(水)第三週レポート
キオラ!(マオリ語で「こんにちは」)
NZ交流プログラムは無事修了し、8月25日(火)に参加者10名が帰国しました。参加者の表情から、3週間のプログラムがどれだけ充実したものだったかが分かります。
帰国から遡ること3日。8月23日(日)にはイーデンパークでオークランドvsタラナキ戦を観戦しました。オークランド協会のご厚意で来賓席より観戦した参加者たち。グラウンド全体が見渡せる素晴らしい席から声援を送ります。自分たちも身に纏ったオークランドチームのユニフォーム姿で活躍する選手に親しみがわいたことは言うまでもありません。
観戦後はオークランドラグビーアカデミーの修了式に臨み、Chief Executive OfficerのAndy Dalton氏より一人ずつ修了証を授与され、励ましの言葉をいただきました。参加者代表が英語のスピーチで感謝の気持ちを伝え、いつの日か必ずニュージーランドに戻ってくることを約束しました。
ニュージーランド滞在最後の日となった8月24日(月)はオークランド市内を観光。この日も晴天に恵まれたラッキーガールズ。フェリーでオークランド対岸の町・デボンポートに渡り、ダボスの丘を彷彿させる急な山道を登ると360℃の大パノラマが広がります。滞在中に訪れた様々な場所に思いを馳せ、あっという間の3週間を振り返りました。その後オークランド戦争博物館に移動しマオリ・ショーを鑑賞したり、ニュージーランドの自然や動植物の歴史を学び、最後の一日を過ごしました。
ラグビーを通じて様々な経験を積んだ参加者たち。英語で理解し合う楽しみを知り、異文化理解の難しさを知り、なによりラグビーの魅力、そして日本ラグビーの良さも再認識したに違いありません。日本に戻り、この経験を多くの方々に伝えてくれることでしょう。今後の活躍に乞うご期待です!
おまけ:驚異のラッキーガールズは幸運なことにオークランドvsタラナキ戦のアフターマッチファンクションにも参加させていただきました。選手の到着を待つ間には2019年ラグビーワールドカップ広報活動にも積極的に取り組みます。英語で話しかけることももう怖くありません。ポスターやステッカーを手に、地元ファンへ「日本でお待ちしています!」と話しかけると大きな歓声が上がりました。