Rule

非公開: ワールドラグビー「競技に関する規定」

SCHEDULE 1

1. ドーピング・コントロール手続上のガイドライン(ガイドライン)

a) 実務上可能な限り、本ガイドラインを遵守するものとする。しかし、判定に重大な疑念を抱かすにたるようなこと以外、ガイドラインに定める手続と異なることを行ったということでドーピング違反の判定は無効とされない。

2. ドーピング・コントロール・ステーション

a) 競技大会時の検査のためにホストの協会あるいはトーナメントの主催者は、ドーピング・コントロール・ステーションを設ける。

i) ドーピング・コントロール・ステーションは確実に管理され,待合室、作業場、及び、トイレ(WC)によって構成される.作業場は待合室と分け隔てられた独立した部屋である.トイレもドーピング・コントロール・ステーション内に設置される.

ii)ドーピング・コントロール・ステーションには、サンプルの採取に必要な設備が設置されている.これはホスト協会あるいはトーナメント主催者の責任において行われる.

iii)DCOにはドーピング・コントロール・セッションを遂行するために必要なサンプル採取に関する資材が提供される.

iv) ドーピング・コントロール・ステーションには警備された入り口が備えられているか,ドーピング・コントロール期間中はコントロール・ステーションに入るための鍵をDCOが管理する.

v) サンプル採取と封入中はドーピング・コントロール・ステーション内での写真,ビデオ等の撮影および録音は禁止される.

vi) ドーピング・コントロール施行中はドーピング・コントロール・ステーション内へのメディアの立ち入りは禁止される.

vii)アルコールを含まない封印された冷たい飲料を待合室に備え、プレーヤーに水分補給を促せるようにすべきである.これらの飲料は選択されたプレーヤーの通告時にも勧められるべきである.

viii) DCOは、ドーピング・コントロール・ステーションが明確にわかるようにし、設備が清潔で、検体採取を行うのに必要な道具及び資材が適切なものであることを確保する責任がある。

3. 認定ドーピング・コントロール・オフィシャル

a) 競技会検査の場合は、検体採取チームは、少なくとも1名のDCOと4名のシャペロンで構成されるものとする。

b)シャペロンは、検体を採取されるプレーヤーと同性でなくてはならず,18歳以上でなければならない。

c) DCO及び全てのシャペロンは、身分証明書(及び/または、DCOとして権限を与えられ、プレーヤーからの検体採取をできる旨の書面 )を携帯するものとする。当該身分証明書は、薬物検査に選ばれたプレーヤーに提示しなくてはならない。

d) DCO,シャペロンとIRBのアンチ・ドーピング責任者には会場への立ち入りを保証するトーナメントの身分証明書(もしあれば)が発行され,ドーピング・コントロールのためにプレーヤーと行動をともにする必要がある.

4. プレーヤーの選出 ―競技会時検査

a) 検査対象のプレーヤーはカード・システムあるいはそれと同等のものによる抽選によって行われる.この抽選は、通常は遅くとも試合開始1時間前までに行わなくてはならない。

b)プレーヤーの抽選はドーピング・コントロール・ステーションあるいは両チームおよびオフィシャルの同意を得た一室で行われる.

c) 無作為の抽選はDCOの管理のもと両チームの監督、または彼らに委任された代理により行われる.IRBのアンチ・ドーピング責任者も出席することができる.

d) DCOは、公式チームリストに掲載された試合に参加するプレーヤー及び交替/入替要員の数だけ番号を付したカードを両チーム分用意するものとする。

e)それぞれのカードは、番号の書かれていない白紙の裏面を上にして置かれるものとする。カードがきられた後,各監督は任意の2枚を選び、裏面にサインする。各監督は、サインしたカードに自分のチーム名を記入する。

f)各監督は更に、もう一枚カードを選び、サインとチーム名に加え「R」の文字を記入する.このカードはプレーヤーが重大な傷害を負い病院に搬送された際に使用される.

g)プレーヤーの選出に関するいかなる段階の情報も試合が終了するまでは,チームのマネージャーやドーピング・コントロール・チーム以外の者へ流出させてはならない.

h)ボードはIRB主催のトーナメントやイベント期間中はいつでもその理由を問われることなく,いかなる選手にもドーピング・コントロールを要求する権限を持つ.これはプレーヤーの無作為抽出よりもむしろ,directed selectionあるいは,無作為抽出に加えて行われる.IRBのアンチ・ドーピング責任者あるいはIRBのアンチ・ドーピング・アドヴァイザリー・コミッティのメンバーだけがこの選択を強制することが出来る.

i)プレーヤーはすべてのIRBトーナメントや主催のイベント期間中に1度以上,ドーピングの対象となることがある.

j)ドーピング・コントロールに選出されたプレーヤーが,試合中の重大な傷害で病院に搬送される必要があるとマッチドクターに判断された場合は,無作為抽出による選出時に「R」の文字を記入された当該チームのプレーヤーが代わって薬物検査を受ける.

k) ドーピング・コントロールに選出されたプレーヤーが,試合中の重大な傷害で緊急に病院に搬送された場合は,マッチドクターはDCOに対して,病院搬送の理由とドーピング・コントロールのためのサンプルの採取が不可能である旨の略式のレポートを文書で提出する.そしてリザーブのカードが使用される.

5. プレーヤーへの通知 ―競技会検査

a) 試合開始後、シャペロンは選択されたプレーヤーに関してアドバイスを受ける.DCOとシャペロンは選択されたプレーヤーを試合中監視することが出来る試合会場内で待機する.

b) 試合終了後、実務上可能な限り速やかに、シャペロンは、選出されたプレーヤー各人にドーピング・コンロトールのためにサンプルを提出する必要があることを通知する。通訳はこの通告を補助する.

c) ドーピング・コントロールに選出されたプレーヤーは、シャペロンから、ドーピング・コントロールにサンプルを提出するよう求める通知を処理する.プレーヤーは通知の提示に応じて速やかに、これに署名し受領を確認するものとする。

d) シャペロンは通告書に通告の時間を記入し,そして署名する.
e) シャペロンはこの通告からサンプル採取が終わり,必要書類への記入,署名が完結するまで選出された各プレーヤーに帯同するものとする。この期間中、シャペロンは、そのプレーヤーを常時監視しているものとする。

f) プレーヤーは、ドーピング・コントロールに選出された旨の通知を受け取り次第可及的速やかにドーピング・コントロール・ステーションに出頭しなくてはならない。いかなる場合も、プレーヤーは通知後1時間以内にドーピング・コントロール・ステーションに到着しなくてはならない。到着時間はDCOかシャペロンがドーピング・コントロール・フォームに記録する。

6. プレーヤーの権利と責任

a)プレーヤーはシャペロンから以下の点についてアドバイスされる:
i) 代理人及び、必要な場合は、通訳をドーピング・コントロール・ステーションに伴う権利;
ii) 検体採取プロセスの更なる情報を求める権利;

b) シャペロンの監視下において通告から1時間以内にプレーヤーは以下のことが許可される:
i)勝利後の式への出席
ii)メディア対応
iii)ウォーム・ダウン
iv)必要な医療措置
v)チームのミーティングへの出席
vi)着替え

c)試合終了後に行われるチームのミーティングに参加するドーピング・コントロールに選出されたプレーヤーには少なくとも1名のシャペロンがミーティング中も彼らを監視するために帯同する.チームのミーティング終了時には他のシャペロンがミーティングルームに入り選出されたプレーヤーを監視してもよい.

d)プレーヤーは以下を保証する責任がある:
i) プレーヤーはIRBのアンチ・ドーピング規定を把握し,それに従う
ii) プレーヤーは通告,サンプル採取と封印の手順に従う
iii) サンプルを提出するために,通告後1時間以内にドーピング・コントロール・ステーションへ出頭する
iv) サンプルが尿採取キットに封印されるまで,それをコントロールし,DCOが分別を封印の許可を出すまで.
v) 封印された尿採取キットは確実に保管され,識別される.
vi) 通告書とドーピング・コントロール・フォームのコピーを受け取る.

7. ドーピング・コントロール命令に応じない場合

a)もしプレーヤーが通告書に署名できない、もしくは、それを拒否する場合、及び/または、ドーピング・コントロール・ステーションに直ちに出頭しない場合は、薬物検査を受けない、もしくは、拒否したと看做され、2年間の制裁を伴うドーピング違反を犯したものと看做されることをシャペロンはプレーヤーに通知する。もし通告に署名することをプレーヤーがまだ拒否した場合、シャペロンは直ちにDCOに報告し、ドーピング・コントロールのためにサンプルを提出する義務があることを伝えるよう最善の努力をする。プレーヤーのチームの監督もこれらを通告するとともにこれらのプロセスに関わらなければならない.

b)もしプレーヤーがまだ通告書に署名できない、もしくは、それを拒否する場合、及び/または、ドーピング・コントロール・ステーションに報告しない場合は、薬物検査を受けない、もしくは、拒否したと看做され、ドーピング違反を犯したものと看做される。

c)シャペロンはこのことを通告書に記載し,署名する.DCOはプレーヤーがそれを拒否する場合、及び/または、ドーピング・コントロール・ステーションに報告しなかった旨を記載した報告書を提出する.

8. ドーピング・コントロール・ステーションへの出頭

a) 以下の者のみが、ドーピング・コントロール・ステーションに立ち入ることができるものとする:
i) 検査に選ばれたプレーヤー;
ii)そのプレーヤーの代理がいれば、その者;
iii)(必要な場合は)通訳。
iv) ドーピング・コントロール・オフィサー;
v) シャペロンおよび
vi) IRBのアンチ・ドーピング責任者

b) プレーヤーがドーピング・コントロール・ステーションに出頭した場合,サンプル採取、サンプルの分別及び封印の作業が終わり、関連文書が作成し終わるまで、そこに留まるものとする.

c) プレーヤーがドーピング・コントロール・ステーションに出頭してからは、ドーピング・コントロールのすべてのプロセスが終わるまでそこにいなければならない.しかしながら,DCOの許可があり,短時間であればプレーヤーはドーピング・コントロール・ステーションを離れてもよい.この場合,常時そのプレーヤーを直接監視するシャペロンを帯同するものとする。

d)プレーヤーは、ドーピング・コントロール・ステーションに備えられたアルコールを含まない封印された飲み物から選ぶことができる。プレーヤーがそれ以外の飲料、食べ物を摂取した場合は、本人がその結果の責任を負う。

9. 尿サンプルの提出

a) プレーヤーは、最低75mlの尿を提出するよう求められる。しかし、できるだけ多くの分量を提出するように求められる.

b) プレーヤーが尿検体を採取できるようになると、そのプレーヤーは、ドーピング・コントロール・ステーション内のプロセシングエリアへ進む.そこでプレーヤーは封印された検体採取容器を取るように言われる。そのプレーヤーが検体採取容器の封を切り,容器がクリーンであることを確かめるべきである。その後、そのプレーヤー及びDCOは、トイレ(WC)へ進む.シャペロンはプレーヤーの代理人,あるいは通訳とともにプロセシングエリアにとどまる.

c) プレーヤーが尿を採取しているときは、プレーヤー及びDCO以外の者はトイレ(WC)に入れない。

d) 検体の真性を確保するために、プレーヤーは、DCOが排尿しているところをはっきり見えるように衣服を脱ぐように言われる。

e) プレーヤーがDCOに採取が終了したことを合図すると、プレーヤーとDCOは、プロセシングエリアに戻る。 DCOに取り扱わせることを認めた場合以外、プレーヤーが検体を扱うものとする。いかなる場合も、DCOは、採取容器を常に視界に置くこととする。

10. 尿サンプルの分別及び封印

a) 作業区域に戻り次第、採取された尿の量をDCOが測る。量が75mlに満たない場合は、本Schedule 1の第14条に定める部分検体取扱い手続を適用する。

b) 採取容器内の検体の量が約75ml以上であるときは、プレーヤーは封印された尿サンプルキットを選ぶ。プレーヤーは、開封前に封が開けられていないか確認すべきであり、細工をされた形跡があれば、新しい尿検体キットを選ぶべきである。その後、プレーヤーは、封を切るよう申し渡される。

c)下記のプロセスは、プレーヤー及び,もしいればプレーヤーの代理人とDCOの立ち会いのもと行われなくてはならない。しかし、当該手続を行うのが、プレーヤーかDCOかは、プレーヤーが決めるものとする。

d) 尿検体キットには、清潔な2本の未使用のボトルが入っている。1本には、「A」、もう1本には「B」と記されており,それぞれコード番号が記載されている。プレーヤーと,もしいればその代理人はこのサンプルコード番号が一致しているかどうか確認する.サンプルコード番号は,尿サンプルキットの外側に記載されたコード番号とも一致する.もしどちらかが一致していない場合は,新しい尿サンプルキットが選ばれるべきである.

e) プレーヤーのサンプルは、AとBのサンプルボトルに分けられる。Aのボトルに正確に2/3の尿サンプルが,Bサンプルボトルには残りの1/3が含まれる.もし尿サンプルが大量の場合はそれぞれのボトルに最大量まで入れる.しかし、尿量がこれに満たなくても、検査を無効とするものではない。但し、検査が充分に行える程度の量があることを要する。

f) 採尿容器の底に残った尿は,サンプルのpHと比重の測定に用いられる.

g) 「A」、「B」のボトル双方とも、プレーヤー及び/またはDCOにより、しっかり固く封印され,漏れがないか確認されるものとする。 DCOは、「A」及び「B」のサンプルコード番号をドーピング・コントロール・フォームに記録する。プレーヤー及び、いる場合は、その代理は、この記載内容が正しいか確認するべきである。

11. pHと比重の測定

a) pHとはサンプルがアルカリ性か酸性かを測る測定である.比重はサンプルがどれくらい濃縮されているか,希釈されているかの測定である.pHと比重の測定はサンプルが記載された測定条件に適合し,分析に適していることを示す.

b) DCOはサンプルの封印が終わった後,採尿容器の底に残った尿を用いて,サンプルのpHと比重を測定する.

c) 検体の適格基準は、下記とする:-
i) pH 5以上7以下
ii) 比重 1.010以上(ペーパー試験紙)
1.005以上(refractometer)

d) もし、最初の検体がこれらを充たさないときは、2番目のサンプルを求める。2番目のサンプルのために新たなドーピング・コントロール・フォームへの記入が必要であるかもしれない.このような場合は,DCOは2番目のドーピング・コントロール・フォームのコメント欄に最初のサンプルの尿サンプルキット・コード番号を記載する.

e) もしプレーヤーが2番目のサンプルの提出を拒否する場合、当該拒否はドーピング違反になることを告げるべきである。このプレーヤーから採取したすべてのサンプルはLaboratory Advice formにもその旨を記載される.

f) もし最初のサンプルの比重が試験紙で1.010以下,refractometerで1.005以下であった場合,DCOはボトルに入る最大量の尿を採取するべきである.DCOはプレーヤーにさらなる飲料の摂取を控えるようにアドバイスするべきである.

プレーヤーから採取した検体は全てIOC認定検査機関に分析のため送付するものとする。

12. 薬物あるいは他の物質の申告

a) プレーヤーは、その直前3日以内に受けた投薬につき申告するようDCOに求められる。この申告は、ドーピング・コントロール・フォームに記録される。

b) もしプレーヤーがドーピング・コントロール・フォームに記録できるスペース以上の薬物を申告する場合は,DCOは新たなドーピング・コントロール・フォームに記載し,それをはじめのドーピング・コントロール・フォームに添付する.2番目のドーピング・コントロール・フォームはさらなる薬物の申告欄以外は最初のドーピング・コントロール・フォームと同様に記載する.もしプレーヤーがそのような申告を行った場合には,これも同様にドーピング・コントロール・フォームに記録される.

c) プレーヤーは、ドーピング・コントロールの手続に何か言うべきことがあるか聞かれる。そこでの発言もドーピング・コントロール・フォームに記録されるべきである。

13. ドーピング・コントロール・フォームへの署名

a) DCOは、プレーヤー及び、いる場合は、その代理に、ドーピング・コントロール・フォームの記載内容が正しいか確認するよう求められ、内容に満足している場合は、プレーヤー及び、いる場合は、その代理双方に署名を求める。プレーヤーがドーピング・コントロール・フォームの内容に同意した場合は、これをもって手続が適正に行われたという反証を許さない証拠とする。

b) DCOは、異例事項またはコメントを付してドーピング・コントロール・フォームに署名するものとする。

c) その後、DCOは、完成したドーピング・コントロール・フォームをプレーヤーに手渡し、その時点でプレーヤーはドーピング・コントロール・ステーションを去ることができる。

14. 部分検体

a) プレーヤーが採取した尿が規定量に満たない場合、例えば75 ml以下の場合,プレーヤーのそのサンプルは部分検体キット内に確実に密封され、さらなる尿が採取されるまで一時的に保管される.

b) トイレからプロセシングエリアへの帰り道でプレーヤーは部分検体・キットを選ぶ.プレーヤーは、開封前に封が開けられていないか確認すべきである.もし細工をされた形跡があれば、新しい部分検体・キットを選ぶべきである。

c) そしてプレーヤーが部分検体ボトルの封を切り,容器から部分検体ボトルへサンプルを移す前に,ボトルがクリーンであることを確かめるべきである。その後,プレーヤーはボトルに封をし,漏れがないことを確認するべきである.

d) 部分検体コード番号は、サンプル採取時間,尿量,プレーヤーの署名とともにドーピング・コントロール・フォームに記載される。

e) ドーピング・コントロール・フォーム及び部分検体は、プレーヤーがもう一度検体を提出できるようになるまでDCOによって確実に保管される。プレーヤーは、もう一度検体を提出するまで待合室に移動し,DCOの監視下に置かれる。

f) プレーヤーがさらなる尿を提出できるようになったら、プレーヤーは、未開封の採取容器をもう一度選ぶ。プレーヤーは75 mlに達する尿の必要最低量に関してアドバイスされる.プレーヤーは、再びDCOの直接の監視下で検体を提出する。

g) プレーヤーが提出した部分検体を開封する前に、DCO及びそのプレーヤーが、ボトルのコード番号とドーピング・コントロール・フォームのコード番号を照合する。プレーヤー及びDCOは、封印を開けた形跡がないか確認すべきである。その後,プレーヤーが部分検体キットを開封する.

h) プレーヤーの最初の検体がから2回目に採取された検体に加えられ、総量がDCOによって確認される。検体が、それでも規定量に満たない場合は、再度同じ封印と記録の手順を繰り返す。

i) 尿が75 mlの規定量に達した場合、本Schedule 2の第10条に定める通常の分別と封印の手順に従う。

15. 検体の運搬

a) 封印された検体は、WADA認定検査機関に運ばれるまで、厳重に保管されるべきである。

b) 全ての検体は、実務上可能な範囲で速やかにWADA認定検査機関に送られるべきである。

c) WADA認定検査機関に送られる検体は、全て運搬用の密封されたバッグに入れられるべきである。検査機関には、検体、投薬の詳細及びコード番号が記されたドーピング・コントロール・フォームが送られる。検体を提出したプレーヤーを特定できるような他の情報は、検査機関に送られるドーピング・コントロール・フォームには記載されない。

d) もしサンプルが採取された国以外のWADA認定検査機関にサンプルを送付する場合は,コンテナやバッグの確実な移動のために通関申告書の添付が必要であるかもしれない.

16. WADA認定検査機関

a) WADA認定検査機関はサンプルの到着確認の報告をボード,協会あるいはトーナメント主催者に行う.WADA認定検査機関はサンプルが適切な状態で改ざんされることなく搬送されたことを確認する.

b) WADA認定検査機関は,最新のWADA禁止薬物リストにならって「A」検体の分析を開始する.

17. 結果の取り扱い

a) もし「A」検体が陰性という結果だった場合は,WADA認定検査機関はボード,トーナメント主催者にそれを報告する.そしてボードはそれを協会に通知する.それから協会はその結果をプレーヤーに通知する.

b) もし「A」検体が違反が疑われる分析結果だった場合は,IRBアンチ・ドーピング規定に沿ったプロセスが適用される.

c) WADA認定検査機関のためのWADAの国際基準に沿ってボードは,違反が疑われる分析結果がラグビー競技において認められたことを,ボードがコーディネートした検査かどうかに関わらず,通達する.

18. 競技会外検査

a) ボードのアンチ・ドーピング競技外検査プログラムに基づいて,ボードは、競技会外検査のために,いついかなる場所でも検査対象のプレーヤーを選択できる.

b) ボードはIRBに代わって競技外検査を担当する検体採取エージェンシーを任命する可能性がある.

c) 当該検査は、抜打ちで、または、DCOまたはボードの代表がプレーヤーと約束を取ってから行われる。

d) 競技会外検査は、ラグビー・フットボールのシーズン中でも、シーズン・オフにでも行い得ることとし、トレーニング゙・グランド、居住施設またはその他プレーヤーが立ち寄る可能性があるところで行い得る。

e)ボードからの請求に従い,プレーヤーと/あるいは協会はプレーヤーの詳細な居所情報を提出するように求められる.これには個人やクラブでのトレーニングや国代表スコッド/チームのトレーニング・セッションなどの競技外検査に適した詳細な情報が含まれる.

19. 競技会外検査でのプレーヤーの選択

a) プレーヤーは無作為抽出か,ボード,協会あるいは国のアンチ・ドーピング機関の代表者によるtargetingによって選択される.

20. 競技会外検査でのプレーヤーへの通告

a) プレーヤーは以下のいずれかの方法で競技会外検査を通告される:

i) 抜き打ち(予告なし),DCOかシャペロンが事前予告なしに現れ,その人が検査対象プレーヤーとして選択されたことを通告する.選択されたプレーヤーはその後,検体が封印され当該書類の作成が終了するまで,直接監視下におかれる.

ii) 略式通告?,プレーヤーが認定ドーピング・コントロール・オフィシャルから電話か書面の通告を受けるた場合は,検体採取の時間と場所の指定の報告をしなければならない(これは口頭あるいは書面での通告を受けてから24時間以内でなければならない).

b) 競技会外検査につきDCOまたはボードの代表がプレーヤーと約束を取ったときは、プレーヤー(関連があるときは、その協会もしくはラグビー団体/クラブ)が、検体採取の日時及び場所につき誤解がないようにする責任がある。

c) short noticeで選択されたことを通告されたプレーヤーが約束の時間までにドーピング・コントロール・ステーションへ連絡してこなかった場合は,DCOは、妥当な時間まで待つか/もしくはプレーヤーへの連絡を試みるかを決断する.それ以降は、プレーヤーが連絡をしてこなかった場合は,DCOがボードにプレーヤーが薬物検査に出頭しなかった旨報告する。このような場合、プレーヤーは、薬物検査を拒否もしくは受けなかったと看做され、ドーピング違反を犯したと看做される。

d) ボードが競技会以外での薬物検査をするために任命したDCOが抜打ちで現れた場合、DCOかシャペロンは、プレーヤーがその時行っていることを終了する合理的な時間を与えるようにすべきである。当該行為は、常にDCOの見えるところで行われるべきである。

e) いかなる場合も、抜き打ちドーピング・コントロールは、DCOがプレーヤーに通告した時点から可能な限り早く開始するものとする。選択されたプレーヤーがチームのトレーニング・セッションに参加しているような場合は,ドーピング・コントロールの前にDCOかシャペロンの直接監視下でそのトレーニング・セッションを終えることができる.

f) DCOかシャペロンは可能であれば,選択されたプレーヤーのトレーニングしている場所で通告することを試みるべきである.もしDCOかシャペロンがそのプレーヤーと接触することが出来なかった場合は,DCOかシャペロンは可能な場所で通告する.

g) DCOが競技会外検査の対象のプレーヤーに接触したときは、プレーヤーに以下の書類を提示するべきである:
i) 有効な身分証明書;及び
ii) ボードが当該DCOをボードに代って薬物検査を行い、検体を採取することを授権した書簡。

h) 検体採取を行う前にDCOは、検査の対象となっているプレーヤーであることを,写真付き身分証などで確認すべきである。

i) DCOは尿検体の採取が慎重に、かつ,プレイバシーを保護する最善の配慮をした状況でおこなわれるよう努力するものとする。DCOにとって、簡単に解決できない困難を伴う状況があることは、認識すべきである。

j) もし通告した現場の設備が適していない場合は,DCOは他の場所で選択されたプレーヤーのドーピング・コントロールを行う.DCOはこの決定をする.検査セッションの場所が変更になる場合,プレーヤーはDCOが許可し,DCOかシャペロンが常時同伴した上で,通告された現場から移動する.

k) もしプレーヤーがDCOの決定に反して,現場を離れる場合はDCOはその場で競技外検査のための検体を提出するようにプレーヤーに求め,検体の提出に同意しない場合はIRBアンチ・ドーピング規定違反にあたる可能性があることを説明する.もしプレーヤーがまだそれの要求に応じない場合はfailure to complyを記録する.DCOはこの状況について書面の報告を行う.

l) その他に関しては、検体採取の手続は、実務上可能な限り競技会でのドーピング・コントロールのガイドラインに沿って行うものとする。

21. 血液サンプルの採取

a) 血液採取は、競技会検査時も競技外検査時も尿検体の採取に先立ってあるいは後に行われる.

b) DCOは、競技者が検体採取における必要条件を通知されていることを確認すること。

c) DCO/シャペロンとプレーヤーは、検体を採取する場所へ進む。その時呼ばれた1名のプレーヤーだけが採血場所へ進む.

d) DCOは、検体採取前に最低でも10 分はリラックスしたポジションがとれることを含め、快適な状態を提供することを確実にすること。

e) DCOは、プレーヤーに検体採取に必要な検体採取キットを選択させ、選択した用具が無傷であり、しっかり密封されているかを確認するよう指示すること。競技者が選択した用具に不満足の場合、当該競技者は他を選択することができる。競技者が用意されている用具の全てに不満足であり、入手可能なものが他にない場合、DCOは当該事項を記録すること。用意された用具の全てに不満足であるという競技者の意見にDCOが同意できない場合、DCOは競技者に対し、検体採取セッションを続けるよう指示すること。用意された用具の全てに不満足であるという競技者が提示した理由にDCOが同意した場合、DCOは競技者の血液検体の採取を中止し、DCOはこれを記録すること。

f) 検体採取キットが選択された際、DCOとプレーヤーは全てのコード番号が一致していることを確認し、DCOは当該コード番号を正確に記録すること。

g) プレーヤーあるいはDCOが番号の相違を発見した場合、DCOは上記e)に従い競技者に別のキットを選択するよう指示すること。DCOはその事実を記録すること。

i) 血液採取役員は、滅菌消毒剤ワイプあるいはスワブで消毒し、必要に応じ駆血帯を用いること。血液採取役員は、表層静脈から最終採取容器へ血液検体を採取すること。駆血帯を使用した場合、静脈穿刺を行った直後に取り外すこと。

j) 採取する血液量は、検体分析を行うために必要な関連分析条件を満たすのに十分であること。

k) プレーヤーから最初に摂取した血液量が不十分の場合、血液採取役員は手順を繰り返すこと。最大試行回数は3 回とする。全試行に失敗した際、血液採取役員はDCOに通知すること。DCOは、血液検体の採取を中止し、当該事項と採取を中止した理由を記録すること。

l) 血液採取役員は穿刺部分にガーゼをあてがう。

m) 血液採取役員は、検体採取セッションを終了するために、必要としない使用済み血液採取用具を廃棄処分すること。

n) プレーヤーはDCOの指示に従い、本人の検体を検体採取キット内に密封すること。完全なる競技者の視界内において、DCOは密封が十分にできているかを確認すること。

o) 密封された検体は、分析前、あるいはWADA認定分析機関あるいはその他WADAにより承認された分析機関へ発送される前は、ドーピング・コントロール・ステーションで冷蔵温度(冷凍温度ではなく)にて保存されること。

p) IRBが血液サンプルの採取を行った場合は,プレーヤーは尿検体も提出する必要がある.もしプレーヤーが尿検体の提出を拒否した場合は,ドーピング・コントロールへの検体の提出を拒否したとみなされ,IRB規定集21.22の制裁措置の対象となる.尿検体はこのSCHEDULEのガイドラインに記載されているように採取される。